大阪公立大学サマーラボ体験記|高校生向け公開講座に全4講座参加

通信制高校のこと

こんにちは、こかげです。

わが家はオンライン型の通信制高校に通っています。サポート校の学習も、主にオンラインです。

進学して、物足りないと思うことがあります。実験などの実技の授業です。

家庭科や体育なら、代わりになる体験を家庭でも用意できます。でも、生の先生から対面で聞く授業や、実験はどうにもなりません。

何かいいものはないだろうか。そう思って探していました。

そこで見つけたのが、大阪公立大学の「サマーラボ」です。化学実験、生命科学、ドイツ語圏の言語と文学、そして『伊勢物語』。理系も文系も、4つとも全部です。

実際、大阪公立大学サマーラボはどうだったのか。わが家の場合をレポートします。

サマーラボとは

正式には「大阪公立大学★高専 小中高生サマーラボ」といいます。大阪公立大学と、寝屋川にある大阪公立大学工業高等専門学校が一緒に開いている、夏の学習プログラムです。

名前のとおり、小学生・中学生向けの講座もあります。2026年は、小学生向けが病院のお仕事体験、ロボット製作、バイキンズワールドの3つ。中学生向けがナノメートルの金属づくりと化学実験の2つでした。小学生向けは保護者の同伴ができます。

高専のほうでも別に講座が企画されていて、申込開始日も大学側とは違います。下にきょうだいがいる場合は、両方見てみる価値があります。

ここから先は、息子が参加した高校生向けの4講座の話です。

▶︎ 大阪公立大学★高専 小中高生サマーラボ(2026年度)|生涯学習・公開講座

開催日 プログラム名 定員 会場
7月31日(金)
13:30〜16:30
高校生のための夏期化学実験講座 50名 森之宮キャンパス
8月4日(火)・5日(水)
7日(金)・8日(土)
10:30〜12:00
生物学×獣医学=1,000倍おもろい生命科学
-高校生物Step Up講座-
60名 I-siteなんば
8月12日(水)
10:30〜12:00/13:00〜14:30
ゲルマニスティックの世界へようこそ
-ドイツ語圏の言語と文学-
30名 I-siteなんば
8月17日(月)
10:30〜12:00/13:00〜14:30
『伊勢物語』の「文字」をよむ・「こころ」をよむ 15名 I-siteなんば

定員を見てもらうと分かるのですが、多くて60名、『伊勢物語』にいたっては15名です。オープンキャンパスのような大人数のイベントとは、まったく別のものでした。

費用

1講座あたり1,000円から2,500円。2,500円の生命科学は4回連続だったので、1回あたりで考えると、むしろ安いほうだと思います。

申し込みは抽選です

告知は6月の中旬から下旬ごろ。先着ではなく、抽選でした。

化学実験講座はさらに、5つのテーマから第2希望まで書いて申し込む形式です。テーマごとに10名ずつ、合計50名。

  • 陽イオン分析
  • 蒸気密度法による分子量の決定
  • フェノールフタレインの合成
  • キレート滴定による水の硬度測定
  • エステルの合成

正直に言うと、どれがいいのかまったく分からなくて、適当に書きました。チラシの説明を読んでも、実際に何が面白いのかまでは分からないのです。

結果は、蒸気密度法による分子量の決定になりました。

申し込みは「本人の名前」で

申し込みは、大学の生涯学習・公開講座のサイトからです。

ここが、いちばん気をつけるところだと思います。

必ず参加する本人の氏名で申し込んでください。申し込みの氏名が参加者本人でない場合は無効になる、と大学のサイトに書かれています。

マイページに登録しなくても申し込めますが、ログインして申し込む場合は、会員登録も本人の氏名でする必要があります。

それから、ひとりにつき一回ずつの申し込みが必要です。4つ受けるなら、4回申し込むことになります。

うちは、名前は息子、メールアドレスは私で登録しました。日程や持ち物、当日の詳細を私が管理したかったからです。この組み合わせで問題ありませんでした。

抽選の結果は、告知されていた日より早くメールで届きました。倍率は分かりません。

そんなに急ぐことはないけれど、サマーラボが告知されたときにメールでお知らせが届いたので、事前に登録しておいてもいいかな?と思います。

このマイページは公開講座サイト全体で共通です。一度作れば、サマーラボ以外の講座にもそのまま使えます。

付き添いはできません

これも先に知っておいたほうがいいことです。

大阪公立大学の公開講座は、受講する本人以外の同伴・見学ができません。会場まで一緒に行くことはできても、教室に入れるのは本人だけです。

つまり、ひとりで行くことが前提になります。

手続きは私、選んだのは本人

入力作業は私がしました。カナダのeTAを代理申請したときと同じです。ただし名義は本人。

どれを受けるかは、本人が決めました。

化学実験は、私が行かせたいと思った講座です。古典は違います。息子は古典が好きではありません。それなのに「受けてみるわ」と言いました。普段触れる機会がないから、というのが理由でした。

それぞれの講座はどうだったか

高校生のための夏期化学実験講座

これは、私がいちばん行かせたかった講座でした。

小学3〜4年の頃、実験教室に通わせていました。息子は今でも楽しかったと言っています。市民ホールでの開催だったので、そんなに高い費用はかからなかったと思います。運営は民間に委託されていました。コロナ禍がきっかけで1年ほどで講座が終了して、残念でした。

オンライン型なので、実験の機会は基本ありません。中学で不登校だった息子は、そもそも理科室に入った回数が少ない。教科書とレポートで理科を学んでいくことになります。

だから、ぜひとも当たってほしいと思っていました。当選が分かったときは、ほっとしました。

息子も、とても良かったと言っています。

実験の待ち時間に、教授の部屋を見学させてもらったそうです。高そうな実験器具がたくさんあった、と。

いいな、いいな、と何回も言っていました。

実験室では、5つのテーマが同じ部屋で並行して進んでいたそうです。各テーマ10名ほど。

息子がやったのは「蒸気密度法による分子量の決定」。イソプロピルアルコールを湯浴で温めて蒸気にし、その重さを量って、PV=nRTから分子量を出す、という内容でした。

教科書では、分子量は原子量を足し算して求めるものです。この実験は逆で、実際に測って決める。同じ数字に、まったく別の道から辿り着きます。

そして、3時間の講座のうち2時間が計算でした。

比重びんの容積を求めて、空気の密度を求めて、グラフから蒸気圧を読み取って、ようやく分子量に辿り着く。息子の出した答えは60.53。正しい値は60.10です。

予定は16時30分まででしたが、17時30分まで延びました。1時間の延長です。

しんどかったとも、延長が嫌だったとも、息子は言いませんでした。

みんなで必死に計算して楽しかった。達成感があった。

生物学×獣医学=1,000倍おもろい生命科学

4日間の連続講座です。講師は大阪府立大学名誉教授の山手丈至先生。獣医師で、専門は獣医病理学です。

第1回が肝機能、第2回が腎機能、第3回が細胞小器官、第4回が免疫とアレルギー。どの回も「正常」と「異常」を並べて見ていく構成でした。生物で習うのは正常な仕組みだけですが、そこに「壊れたらどうなるか」を重ねていきます。

息子はまだ高校生物を履修していません。生物を終えているレベルなら、もっと楽しめただろうと言っていました。

いちばん身近だったのは、最終回の免疫とアレルギーだそうです。花粉症もアナフィラキシーも、自分の体で知っている話ですから。

そして、その最終日がいちばん面白かった。

ただ、最終日は受講者が減っていたそうです。定員60名。ふだん周囲にあまり関心のない息子でさえ気づくくらいには、減っていたということになります。

毎回、資料が配られます。講義を聞きながら書き込んでいく形式です。

最終日の資料に、息子の字でこう書いてありました。

正常⇄異常 逆転の発想力

ゲルマニスティックの世界へようこそ

午前と午後で内容が違いました。午前が言語学、午後が文学です。

午前の講義タイトルは「ドイツ語パズルで挑む言語学の世界」。

まず発音の規則を教わります。ieはイー、eiはアイ、euはオイ、wはヴ。語末のrはア、sは母音が続くとズ。

そのうえで「発音と意味を予測してみよう」という時間がありました。Wein、Rose、Tier、Wasser、Tee。習っていない単語を、規則から自力で読む。

資料の欄は、全部埋まっていました。

ドイツ語圏はドイツだけではない、という話も面白かったそうです。オーストリアもスイスも含めて「DACH」と呼ぶ。同じじゃがいもが、ドイツではKartoffel、オーストリアではErdapfel、スイスではHärdöpfel。

午後の文学は、正直よく分からなかったそうです。扱われた作家を知らなかったから。

機会があれば読んでみる、とは言っていました。

『伊勢物語』の「文字」をよむ・「こころ」をよむ

古典が好きではない息子が、自分で選んだ講座です。講師は大阪公立大学国際基幹教育機構の西田正宏先生。

午前は「文字」をよむ。くずし字と変体仮名の話でした。

今のひらがなは、一つの音に一つの字です。でも昔は違いました。「あ」には安・悪・阿、「か」には加・可・閑・家。一つの音に、いくつもの字があった。

その成り立ちが興味深かったそうです。

午後は、実際に写本を読みました。

『伊勢物語』は、作者も成立年代も分かっていません。原本も残っていない。多く読まれた作品ほど多く書き写され、そのぶん原本が失われていく。今回使ったのは、藤原定家が73歳のときに孫娘のために書写したとされる本を模写したものでした。

印象に残ったのは「目移り」という言葉だったそうです。

写本を作るとき、近くに同じような文字があると、視線がそちらに飛んでしまう。そのあいだの文が、まるごと抜け落ちる。そういう写し間違いを指す言葉だそうです。

現代の意味と少し違う気もするし、なんとなく分かる気もする、と言っていました。

息子の感想は、こうです。

暗号を解く感覚だった。そういう意味で面白い。昔の人は難しいことをしていた。

4つ受けて分かったこと

並べてみると、面白かったものには共通点がありました。

化学実験、くずし字の解読、ドイツ語の発音規則。どれも、手が動く講座です。規則を教わって、それを当てはめて、自分で答えを出す。免疫の回が身近だったのも、自分の体で知っている話だったからでしょう。

化学実験にいたっては、3時間のうち2時間が計算でした。楽しく見せるための実験ではなく、測って計算して答え合わせをする、本物の手順だったということだと思います。

逆に入りづらかったのは、生物の前半とドイツ文学でした。前提の知識がないと入れない内容です。

もし、来年参加してみようかな?と思われるのなら、そんなにハードルを高く考えなくていいと思います。

わが家も、通信制高校の課題を高1の夏分までやっていた程度です。本人がとりあえず参加してみようかな、で十分。

分からなかったことを知りたいと思う気持ちから、学びは始まるので。

当たったら行ってみよう。お子さんがそう思うなら、十分だと思います。

会場のこと

化学実験だけが森之宮キャンパス、残り3つはI-siteなんばでした。

森之宮キャンパス

2025年に開設された新しいキャンパスです。地上13階建て。教室も研究室も図書館も食堂も、全部が一つの建物に入っています。

めっちゃ綺麗だった、というのが息子の第一声でした。

最寄りは森ノ宮駅から徒歩13分。京橋、緑橋、鴫野からも歩けます。

7月末の炎天下でしたから、真夏に行くなら水分は持たせたほうがいいと思います。

ちなみに、2028年春にキャンパスのすぐそばへ新しい駅ができる予定だそうです。Osaka Metro中央線の(仮称)森之宮新駅。それまでは、歩くことになります。

ひとつ、気になったこともあります。

留学生を装った詐欺に注意、という張り紙をいくつも見かけたそうです。大学が注意喚起するくらいには、実際に被害があるということでしょう。

ただ、若い人が狙われるのは、外国人からとは限りません。先輩に誘われた、友達の紹介、そういう入口のほうがむしろ多い。知っている人からだからこそ、断りにくいのだと思います。

張り紙を見て、そこだけ警戒すればいいわけではないな、と思いました。

I-siteなんば

南海なんば第1ビルの2階・3階にあります。キャンパスではなく、街なかのビルで講義を受ける形です。前にZeppがあります。

南海なんば駅から徒歩約12分、今宮戎駅からなら徒歩約6分。

駅から近いので、迷うことはないと思います。ただ、難波は繁華街です。駅の出口も多い。初めて一人で行くなら、出口の番号まで確認しておくと安心だと思いました。

大学に足を踏み入れるのはハードルが高い、と感じる子には、こちらのほうが入りやすいかもしれません。

不思議だったこと

ひとつ、私には分からないことがあります。

学校の授業は受けたくない。でも、この講座は4つとも受けた。

テストがないから、ジャッジされないから、のびのび学べたのだろうとは思います。実際、息子にはそういうやり方が合っている。

ただ、この夏は模試も受けましたし、8月末には英検準1級、10月には数検2級が控えています。全部、評価される場です。ジャッジされる場が要らないわけではないのです。

👉 この夏受けた全統模試の申し込み手順や費用はこちらの記事にまとめています。

検定や模試は、自分がどれだけできているかの確認になる。だからいけるのかなぁ、と思っています。

一回きりの講座も、4日連続の講座も、最後まで受けました。途中で、今日はパスって日もあるかな?と思っていたので意外でした。

学校は難しいけれど、短時間、また関係が長期にわたらないというところが、本人的に安心なのかな?

この記事を書きながら、自分との戦いはオッケーなんだな、と理解できました。

この夏、息子の苦手が何なのか、少し分かった気がしました。

行かせてよかったこと

久しぶりに対面での講義や実験を体験できて、良かったな!と思いました。

通信制の学習は、映像とテキストと課題で完結します。よくできた仕組みで、息子はそれで自分のペースを保っています。ただ、目の前に人がいません。

化学実験が1時間延びたのは、たぶん、みんなが計算を終えるまで待ったからです。映像授業なら、時間どおりに終わります。

年に一度のイベント感覚。通信制高校の子には、それぐらいがちょうど良かったのだと思いました。

これが毎月あるとなると、行かない気がします(笑)

ちょうど、これぐらいの非日常ぐらいの刺激が良かったのかな(笑)

おわりに

参加して良かったと思っています。

学校の授業という、強制されたものではないこと。それが息子には合っていたのだと思います。

この満足感は、試験で良い点数をとることを目標としない、自由な学びが良かったのかなと感じています。

息子は、来年もう少し学習が進んでいたら、もっと楽しめるかもと言っていました。

わが家も、来年また日程が合えば参加します。

👉 発達特性のある息子と歩んだ通信制高校1年目の振り返りはこちらの記事に書いています。

気になる方は、マイページ登録しておくと、メールに情報が届きますよ。1年後なので忘れちゃいそうですよね(笑)

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